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CONTENTS
HISTORY
2017
2017年度の全勉強会の記録です。
Session abstract
・日時:2017年10月03日(火)18:30-19:30
・会場:東京医科歯科大学M&Dタワー21階大学院講義室1
・講師:吉村健佑先生(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス 主任研究官)
今回は「医療ビッグデータの活用の実際:NDBオープンデータを分析する~NDB, AI利用, 医系技官をキーワードに~」というテーマで国立保健医療科学院医療・福祉サービス主任研究官の吉村健佑先生にお話しいただきました。最前線で活躍されている医系技官の方の仕事内容をあまり知らない私たちにとって、大変興味深く濃密な1時間となりました。吉村先生は厚生労働省で医療・介護分野におけるICT(Information and Communication Technology; 情報通信技術)の活用と課題に取り組んでいらっしゃいますが、吉村先生が主導となって企画実行を推し進めてこられたとのことで、そのバイタリティーは大変なもので、私たち学生は大変な刺激を受けました!
まず、勉強会は医療情報政策の全体像に関するお話から始まりました。現在、医療・介護分野ではICTを活用して、電子カルテの普及の推進、地域医療情報ネットワークの構築推進、検診・医療・介護のレセプト(診療報酬請求明細書、処方箋のこと)を中心とした公的データベースの整備・拡充が行われているとのことでした。同分野のICT化推進には総務省と経済産業省も取り組んでいるため、省庁の関係者間の親睦を深めるための非公式の交流会(=飲み会)の企画開催にも吉村先生は積極的に取り組んでいらっしゃるとのことです。
続いて、今回の勉強会のメインの内容となるNDBオープンデータのお話となりました。NDBとはレセプト情報・特定検診等情報データベースのことで、国民の医療動向や健康等の実態を把握する観点から有用なデータと考えられています。吉村先生はこのNDBオープンデータの編纂を主導されています。各診療行為や健診データをまとめて比較すると、診療行為の頻度の地域差や、診療行為を最も受けている年齢層・性別が一目で分かるようになります。これらのデータは厚生労働省HPで閲覧可能な他、研究者への提供もされています。NDBの結果を基に、精神科の多剤投与が見直された実際の事例が紹介されました。
最後は遠隔医療とAIのお話でした。遠隔医療は患者の負担を減らし、医療の質や生産性を向上させることが期待されて普及・推進が行われているとのことでした。そして、AIの実用化はゲノム医療・画像診断支援・診断および治療支援・医薬品開発等の分野で早い段階で見込まれていますが、同時に臨床の現場で生身の人間だけができることとして、患者の複雑な背景・気持ちを理解して接するコミュニケーション能力が重要であり忘れてはいけないことも強調されました。
90枚以上に及ぶスライドの説明の後、質疑応答では学生から活発に質問が飛び出していました。勉強会の後の懇親会では吉村先生の破天荒なキャリアの話も飛び出し、大変盛り上がって終了した今回の勉強会だったのでした!(文責:嶋津)